九谷焼
について
加賀前田藩 百万石の伝統文化を、五彩の色絵にたくした九谷焼。
その豪華絢爛な独自の風格をもつ作風は、創始期「古九谷」以来350年の歳月を経た現在も脈々と生き、
金彩を加えていっそう華やかな上絵として伝わっています。
百万石の雅をそのまま磁器にうつし、力強く、またやさしく。重厚さと繊細さが織りなす色絵。
手づくりのあたたかみと風情。そんな暮らしを彩る伝統工芸「九谷焼」について、ご紹介いたします。
絵柄について
九谷焼には、西暦1650年頃に誕生した古九谷風をはじめ、現代にかけて様々な伝統の技法があります。
なかでも美山窯が得意とする絵柄について、ご紹介します。
人気の絵柄
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京山茶花
金に縁どられた山茶花(赤・紺青・紫)が華やかな絵柄です。白抜きの部分と葉の部分のバランスが絶妙です。器全体に柄のある「総柄」なので、左利きの方へもお勧めです。
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吉田屋
牡丹伝統的で素朴な牡丹(紺青・紫)を幾何的に配置した絵柄です。こちらも総柄です。
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花かすみ
あじさい淡い色あいの赤と紺青のふたつの花が、優しい印象です。開花の時期に関わらず、一年を通して人気の総柄です。
得意とする技法
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古九谷風
山水図や花鳥図など、比較的余白を残したシンプルな図案が多いです。その分、器本来の、磁器の白さや陶器本体の土の温かみを感じることができます。美山窯の古九谷図は、繊細な花や、良い表情の鳥たちで、洗練された印象に定評があります。
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木米風
地塗りが真っ赤な木米風。その中で沢山の仙人が魚に乗っていたり、象に乗っていたり、はじめて見たときはギョッと驚くかもしれません。けれど、よく見ると楽しくて、かわいらしい印象の絵柄です。
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吉田屋風
もっとも「九谷焼らしい」といえる絵柄のひとつで、美山窯がいちばん得意とする画風です。
こちらの図案は線描きがきれいで、明るい黄色が鮮やかです。また黄地だけでなく、緑・黄緑・紺・すみれ色などのカラフルなバリエーションがあり、とくに縁起の良い、万年青(おもと)図が人気です。 -
銀彩
銀箔を、ガラス質の和絵の具で塗りこめた技法です。銀が空気に触れないので、酸化して黒ずむことなく美しい色合いをお楽しみいただけます。実際には銀箔より7〜10倍厚い銀澄(ぎんすみ)と呼ばれるものを使用しています。金沢は金箔が有名ですが、実は銀箔(銀澄)も国内シェアは100%です。※電子レンジではご使用できません。
九谷焼
の流れ
step1採石・粉砕・水簸・杯土造り
採石した陶石は粉末状になるまで均一に砕き、乾燥させます。次にこの土を水に溶かして濾して不純物を取り除き、滑らかな坏土をつくります。
step2土もみ・形成・仕上げ・乾燥
坏土から空気を抜くようにして、主に「ろくろ」を使って器のかたちを形成していきます。
成形したら、素地を半乾きにして、仕上げに削りやゆがみを整えてから、天日でしっかり乾燥させます。
step3素焼き
乾燥した器を約800度で素焼きし、強度を高めることで、下絵付けや釉掛けをしやすくします。
step4下絵付け・施釉(せゆ)・本窯
素焼きが終わった素地に、「施釉」をかける前に下絵付けを施します。次に釉薬をかけて、1300度前後の高温で焼き上げる「本窯」を行います。
step5上絵付け・上絵窯・錦窯・完成
ひとつひとつ手作業で色絵付けを行います。
昔ながらの電気炉に円く並べ詰め、800度前後で焼成して、完成です。